カテゴリー: Midium Report

  • ファッションの生産地としての地場産業育成 ~宮城県南三陸町での取り組み~

    ファッションの生産地としての地場産業育成 ~宮城県南三陸町での取り組み~

    日本人にとって希望の象徴であり、鎮魂の象徴でもある桜。
    3.11後、「東北のために、何が出来るだろう」と考えた時
    桜でいっぱいになった雪国の風景が浮かんだ。

     

    20年後、2031年までに、宮城県南三陸町に
    3000本の桜を植えたい。
    その、桜の咲く美しい大地には、
    人々が豊かに暮らしていてほしい。
    そのためには、この南三陸から人が離れていってはいけない。
    雇用創出できる産業を起こしたい。
    こうして、LOOM NIPPONの活動が始まったー

     

    LOOM NIPPON代表の加賀美由加里さん。
    流れの激しいファッション業界において常にキーパーソンとして活躍。
    現在ドーメル・ジャポン社の社長、そしてランバンブランドの日本アドバイザー、と
    日本のファッション界の牽引役として多方面からの篤い信頼を得ている。

    Ms. Yukari Kagami

    その加賀美さんが
    南三陸を東北一の桜の名所に
    そしてファッションの生産地に
    と、LOOM NIPPONを立ち上げた。

     

    ランバンの創始者、ジャンヌ・ランバン。
    彼女の、Fashion is Emotionという言葉を加賀美さんは大切にされている。
    バッグはそのEmotionを運ぶプロダクトだという。

     

    EmotionをActionに変えたい。
    その思いが、バッグに繋がり実を結んだ。

     

    「これまでの私の全てのキャリアはこの仕事のためにあった」
    そう言い切る加賀美さん。

     

    Love Of Our Motherlandの頭文字「LOOM」
    奇しくもLOOMとは機織機の意味がある。
    縦糸を祖先から子孫までに、そして横糸を同じ世代にみたて、
    それらの織り込まれる愛のタペストリーを作りたい。
    そう考えた加賀美さんは「織」を取り入れたバッグを作ろうと思い立つ。

     

    機を織るということは織り姫が必要だ。
    被災した子供達が、この南三陸の地で育っていくには親に仕事がなければならない。

     

    雇用創出のため、バッグを南三陸で作れないか。
    知り合いを辿っているうちに、アストロ・テックの佐藤社長に出会う。
    佐藤社長も被災し、工場も家も流された。
    被災する前は精密機械を作っていたが、
    加賀美さんの熱意に動かされ、未知のバッグの世界へ。

     

    「苦労なんて苦労はしてないですよ」と穏やかに語る佐藤社長。
    全くの異業種に、抵抗はなかったという。
    精密機械を扱っていただけに細やかで丁寧な仕事は元々得意。

    Mr.Akio Sato

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    「最初は、同業者から冷やかしの電話があった」という。
    それでも、そんなことには目もくれず、
    日々研究を重ねていった。

     

    被災して仮設住宅に引きこもっていたが、
    アストロ・テックで働くようになって笑顔が出てきた若い女性もいるという。
    佐藤社長の温かいまなざしを見ていると
    佐藤社長の心が、彼女を動かしたのだろうと思える。
    同じ苦労をしたものだけが分かる暗黙の世界。
    それを黙って迎え入れる佐藤社長。
    目に見えない絆が織り込まれているのを感じた。

    Asutoro

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    長年、世界を相手に、ブランディングを手がけてきた加賀美さん。
    既に次の戦略を打っている。

     

    この街全体がファッションの生産地として著名となって
    各地から若者が集まってくるような夢のある場所にしたい。

     

    そのための準備が着々と進んでいる。
    事業がうまくいけば行く程、桜が植わっていく。
    南三陸という故郷に、皆の作ったバッグが桜となって戻ってくる。

    LOOM Bag

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    南三陸町。
    これから益々目を離せない。

    2012/12/19

    復興支援メディア隊

    榎田智子

     

  • 「海のサムライ」プロジェクト(仮)始動!

    「海のサムライ」プロジェクト(仮)始動!

    9月27日(火)、宮城県気仙沼市唐桑町の漁師/佐々木さん、唐桑Boys/崔くん、余力くんを訪ねました。

    メンバーは、復興支援メディア隊からは代表榎田、(有)マイティー千葉重 千葉さん、

    (株)あおいビジネスソリューションズ 渡辺さん。

    今回の訪問では、同じく気仙沼市内の(株)斉吉商店(廻船問屋業・水産物卸・小売業・

    水産加工品及び製造業)/斉藤さん、

    島根県から氷感技術を持つ(株)フィールテクノロジー/三谷さん、

    福島にて氷感技術のトラックを実用化、販売代理店/沢田さんにもお越し頂きました。

     

    震災時、命懸けで船を守り、既に漁に出始めている佐々木さんの課題は、

    「漁をしてきても、魚をあげる場所がなく、物流にのせられない」ということ。

    これは市場がない為です。

    これまで市場が、水揚げ、冷蔵/冷凍の設備、魚の解体等、物流にのせて運ぶまでを担っていました。

     

    立地の問題や町全体の復旧計画を考案する中、市場の復旧を待っていると、最低でも5年はかかると言います。

    港町でその間、漁が出来ないということは、唐桑、そして気仙沼全体の復興が遅れることになります。

     

    そこで、新しい物流が出来ないか?ということで、今回のメンバーが集まりました。

    市場のような施設の代わりに、「氷感」という技術をのせたトラックを使うのです。

    トラックという、移動可能な設備で、更に「冷凍/冷蔵」の代わりに、「氷感庫」を使います。

    ※この技術についてはこちらをご覧下さい。

    氷感の特徴は、食品の劣化が遅くなり、食品のアミノ酸が増え、美味しくなるという点です。

     

    これまで、漁師さんは、「ものすごく良いもの」が獲れたとしても、長い物流を経る過程で、

    なかなかその美味しさを維持したまま、消費者に届けることが出来ませんでした。

    この課題も解決してしまいます。

     

    また、市場から仲買、量販店と魚が流れていく中で、漁師さんが利益を得にくい仕組みになっていました。

    「漁師=儲けられない」という仕組みで、後継者不足もありました。

    その点を、新しい販路を作ることで、解決しようということで、千葉さんの出番です。

    宮城をはじめ、全国を飛び回る、インターネットを活用した販路、小売り販売、

    ブランティングのスペシャリストです。

    それを唐桑Boysが佐々木さんに密着してサポートします。

     

    そもそも、メカジキ等の大きな魚はそのままでは物流にのせられませんし、鮮魚そのままでは、

    販路が限られますので、加工品を作る案が上がりました。

    そこでこれまで1次加工はしておりませんでしたが、斉吉商店さんが快く、

    「佐々木船頭の魚、うちで是非やらせてください!」と手をあげて下さいました。

    そして最後の難関、資金面や諸々のクリアしなければいけない課題は、金融のプロ、渡辺さんです。

    この、新しい物流プロジェクトにより、気仙沼に「仕事」が生まれるのです。

     

    今、現地で必要なものは「仕事」(雇用)です。

    復興支援メディア隊の役目は、「被災地の方の声を聞き、伝える」こと。

    生の声を伝えることで生まれる「新しいビジネス」を、これをモデルに他にも繋いでいきたいと思います。

     

     

    全てが人のつながり。

    自分が困っているときにこそ、誰かの為に何かをしたい。

    ここに集まった人々は、そういった方々です。

     

    若者が故郷を離れ、都会で仕事をする人が増える東北の沿岸地域。

    しかし、自然豊かなこの地で、近い将来、

    ここで漁師になりたい!」と、子供たちからの声が上がる日が来る。

    このメンバーを見て、そう確信しました。

    復興支援メディア隊・石山静香

  • 東北大学大学院 石田教授

    東北大学大学院 石田教授

    8月30日 仙台にある東北大学大学院・石田教授のもとへ行き、

    新しいライフスタイル、まちづくりのお話を聞かせて頂きました。

     

    原発問題から、節電が日常的に行なわれている今日ですが、

    「電力消費15%削減」というとものすごく高いハードルに聞こえます。

    それは、電気のスイッチを消すことで対応しようとすると、かなりの我慢も伴います。

     

    ではどうしたらよいのか??

    震災後、教授は「先取りしたい2030年の暮らし」(エネルギーや資源が十分に得られないときでも心豊かに暮らす方法の提案)

    というかわいいイラストの小冊子を発刊しており、

    現在シリーズ4冊目まで完成しています。(HPからも観られるようになっています。)

    子どもが興味を持ち、楽しみながら始める・・・そして家族に「こんなことしたよ!」と話をする。

    家族だんらんのきっかけになる冊子を目指しているということです。

    ※特に私は「昔、味噌や醤油を貸し借りしたように、電気の貸し借りをする」という未来のイメージが大好きです。

     

    教授は普段から「自然のドアをノックしよう」というフレーズのもとに、

    自然から学び、現代技術でものづくりに活かす・・・というネイチャーテクノロジーの研究をしています。

    例えば、水のいらないお風呂、エアコンの要らない壁・・・面白い発明にいつも驚かされます。

     

    今回は、「家庭農場」のお話とともに、実際に「新しい土」を見せて頂きました。

    キッチンの引き出しをあけると、今日の夕飯に使うレタスが生えている。

    壁にもトマトやにんじん、インゲン・・・。

    たくさん採れたからご近所さんにお裾分け。そこからうまれるコミュニティ。

    想像するだけでワクワクします。

     

    そこで大活躍するのが、農薬が要らず、ほんのちょっとの水で育つ、土。

    土をこぼして大変!汚れたり、色んな虫が入って来る・・・というイメージが大きく変わります。

    色も半透明、手に取ってみると、とても軽い。(通常の土の比重が2.0ですが、こちらは0.1です。)

    「土=茶色」の既成概念が壊れます。

    実用化したら楽しいこと間違いなし!!

    今からワクワクです。

    ↓新しい土。

     

     

     

     

     

     

     

     

    新しいまちづくりに、取り入れたいアイディアが満載です。

    9月15日は、東京で教授が

    日本人が求めている暮らしのかたちとテクノロジー 〜勤勉革命が生み出したものつくりのかたち〜

    というタイトルで講演されます。

    ドキドキ・ワクワク、楽しい未来を描くきっかけになるのではと思います。

     

     

    復興支援メディア隊・石山静香

  • Medium Report

    Medium Report

    復興支援メディア隊のメンバーは一人一人が

    Mediaの単数形であるMedium=媒体となって

    被災地の復興を支援していきます。

     

    現地で取材を重ねるうちに、

    私達が媒体となり情報を繋げる事で、

    復興に貢献出来ることがある事に気付きました。

     

    ここでは具体的な事例を挙げながら、

    被災地で必要とされている「モノコトヒト」をお伝えしていきます。

     

    皆様のご協力をお願いします。

    榎田竜路